長い間、姿勢に問題があったとしても、改善することは十分可能です。
丸まった肩や猫背は、ある程度の年齢になると決まってしまうように思われ、姿勢を良くするための船に乗り遅れたと感じるかもしれません。しかし、まだ背筋を伸ばせる可能性は十分にあリます。
「思っているほど難しいことではありません。姿勢を良くするには、行動を変えたり、筋肉を鍛えたりするだけでいいことが多いのです」と、ハーバード大学付属ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の理学療法士、サロニ・ドーシは言っています。
姿勢の問題の原因は?
姿勢の悪さは、コンピューターの前で仕事をしたり、テレビを見ながらソファでうつむいたり、スマートフォンに目を落としたりといった現代の習慣に起因することも多いです。姿勢の悪さは、重いもの(職場の備品、食料品の袋、重い財布など)を長時間持ち運ぶことにも起因している可能性があります。
これらの動作はすべて、前かがみになったり、肩を前に出したりします。「そうすると、肩の後ろの筋肉が伸びすぎて弱くなり、肩の前の筋肉と胸の筋肉が短くなります。そうすると、筋肉が弱すぎて引き上げることができないため、重力によって筋肉が前方に引っ張られるのです」とドーシは説明しています。
背中や腹部の体幹の筋肉が運動不足で弱くなっている場合も、前傾姿勢の原因になります。これらの筋肉は、骨格を持ち上げ、まっすぐな姿勢を保つのに重要なのです」。
姿勢が悪くなるもうひとつの原因は、9月にお伝えしたように、背中の骨折です。骨がもろい人(骨粗しょう症)は、背中の骨(椎骨)にかかる荷重を支えるだけの強度がないため、圧迫骨折を起こすことがある。骨は前側、つまり胸に近い部分でつぶれます。崩れた椎骨が積み重なると、背骨は丸みを帯び、前方に曲がるようになり、この状態をダボこぶ(背側後弯)と呼びます。
悪い姿勢の結果
時々、”なぜ姿勢を変えなければならないのですか?と聞かれることがあります。でも、前かがみの姿勢で起こる大きなことのひとつは、重心が前に行ってしまうことです。これは転倒のリスクを高めます」とドーシは言う。
姿勢の悪さは、背中や首の痛み、頭痛、呼吸困難、歩行困難の原因にもなります。「背中と首の痛みが一番多いようです」とドーシ氏。
座ってできる胸のストレッチ
椅子に横向きにまっすぐ座る。両手を後ろで組み、手のひらが自分の方を向くように指をロックする。両手をきつくなるところまで上に持ち上げる。10秒キープし、スタートポジションに戻る。これを2~4回繰り返す。
背筋を伸ばすコツ
悪い姿勢を直すには、背中上部、胸部、体幹の筋肉を強化し、ストレッチすることが重要です。
肩の強化には、肩甲骨スクイーズ(一度に30秒間、肩甲骨をぎゅっと寄せる)やローイング(抵抗バンドを使って、漕ぐように肘を後ろに引く)などがある。
体幹を鍛えるには、変形プランク(肘をついて腕立て伏せの姿勢をとる)や、腹筋を締めておへそを背骨のほうに引き寄せるなどがあります。
胸の筋肉を伸ばす簡単な方法:両腕を背中の後ろに回し、両肘(手が届く範囲なら前腕)をつかんでその姿勢をキープするだけ。
また、日常生活でも姿勢を正す必要があります。座っているとき(テレビを見ているときでも)の簡単なコツ: 「肩の後ろに丸めたタオルを置く。タオルが落ちないように背筋を伸ばすのです」とドーシは提案する。
姿勢の悪さにつながっている活動も減らす。パソコンやテレビを見る時間を減らし、運動量を増やす。「6週間から12週間で、姿勢の改善が見られるでしょう(ドーシ氏)。」
*ハーバード大学医学部ニュースレターより