動機づけ面接を実際のコーチングの場で活用するための具体的なスキルが「OARS(オールズ)」です。カヌーのオールが水の中を進むように、OARSは対話を前に進め、方向を定め、クライアントの言葉を引き出すための4つの技法です。
O:Open-ended Questions(オープンエンドな質問)
「はい/いいえ」では答えられない、自由形式の質問を使います。「あなたが変化を考えるためには何が必要ですか?」のような質問は、クライアントが自分のストーリーを語り、共有する空間を生み出します。
コーチは話すよりも聴くことを第一に重視します。クローズドな質問は会話を閉じてしまいますが、オープンな質問は対話を広げ、深めます。
A:Affirmation(肯定)
クライアントが変化に向かう言葉(チェンジ・トーク)を口にしたら、その言葉をしっかりと受け止め、さらに掘り下げます。「2、3年前に禁煙しようと思ったことがある」という言葉に対して、「そのとき、何があったのですか?」と尋ねることで、変化への意欲を肯定し、広げていきます。
R:Reflective Listening(反映的傾聴)
長時間、注意深く、共感的に耳を傾け、聞いたことを言葉に反映します。例えば「つまり、あの頃は生活が安定していて、禁煙に取り組む余裕があったということですね」のように繰り返すことで、クライアントは「ちゃんと聴いてもらえている」という安心感を得ます。
S:Summarise(要約)
15〜20分の対話の後に、主な内容と表現された感情を要約します。これはコーチが存在感を持ってクライアントに寄り添っていることを示す、思いやりの表現でもあります。
変化の話を引き出す3つの戦略
- 重要度の尺度:「今の食事の改善は、あなたにとって1〜10でどのくらい重要ですか?」と尋ね、その数字の理由を掘り下げる
- 未来への質問:「もし健康的な食事が続いていたら、あなたの生活はどう変わっていますか?」
- 過去の経験:「以前、目標を達成できたときのことを教えてください」
OARSはスキルであると同時に、コーチの姿勢そのものでもあります。



