「運動はしたほうがいいと分かっているのに続かない」「食事を気をつけようと思っても、数日で元に戻る」。こうした悩みに対して、気合いや根性だけで押し切ろうとしても、長続きしないことが少なくありません。そこで役立つのが、OARSテクニック コーチング 使い方を理解し、相手の中にある“変わりたい気持ち”を引き出す関わり方です。
OARSは、動機づけ面接でよく使われる基本技法です。内容はシンプルで、Open questions、Affirmation、Reflective listening、Summarizingの4つ。日本語では、開かれた質問、承認、反射的傾聴、要約と考えると分かりやすいです。難しそうに見えて、実際はパーソナルトレーニング、栄養指導、生活習慣の見直し、産後や病後のリカバリー支援など、幅広い場面で使えます。
大切なのは、相手を説得するための話し方ではないという点です。OARSは、相手の本音や価値観、そして無理なく続けられる方法を一緒に見つけるための技術です。特に、自己流で続かなかった経験がある方や、年齢とともに体力や体型の変化を感じている方には、とても相性がいい考え方です。
OARSテクニック コーチング 使い方が体づくりに向いている理由
体づくりの失敗は、知識不足だけで起きるわけではありません。何を食べればよいか、どんな運動が必要かを知っていても、仕事、家事、育児、体調、気分の波がある中で継続するのは簡単ではないからです。
ここで必要なのは、正論を増やすことではなく、続けられる行動を見つけることです。たとえば「毎日30分歩きましょう」と伝えるより、「今の生活の中なら、どの時間帯なら5分歩けそうですか」と尋ねるほうが、実際の行動につながりやすくなります。OARSは、この“できる形に落とし込む対話”を支えます。
また、健康改善には感情面も大きく関わります。体重が増えたことへの焦り、昔のように動けないもどかしさ、医師から指摘された数値への不安。こうした気持ちを置き去りにして、方法論だけを伝えても、相手は前に進みにくいものです。OARSは、気持ちを受け止めながら行動変容を進めるため、無理をしすぎず、それでも前に進めるのが強みです。
OARSの4要素を実践でどう使うか
Open questions – 開かれた質問
開かれた質問は、「はい」「いいえ」で終わらない質問です。相手に考えてもらい、気持ちや状況を言葉にしてもらうために使います。
たとえば「運動したほうがいいと思いますか」ではなく、「最近、体力の変化を感じるのはどんな場面ですか」と聞くほうが、具体的な会話になります。「食事で気をつけたいことはありますか」より、「夕食後に食べ過ぎやすい日は、どんな流れになっていますか」と聞くほうが、行動のパターンが見えてきます。
ポイントは、相手を試すように聞かないことです。質問が多すぎると、尋問のように感じられることがあります。1つ良い質問をしたら、しっかり待つ。この間の取り方もコーチングでは大切です。
Affirmation – 承認
承認は、ただ褒めることではありません。相手の努力、工夫、価値観、前進を具体的に認めることです。
たとえば「すごいですね」だけでは弱いことがあります。「忙しい中でも週1回は時間を作れたのは、大きな前進ですね」「甘いものをゼロにするのではなく、量を調整しようと考えたのは現実的で良いですね」といった声かけのほうが、相手は自分の変化を実感しやすくなります。
体づくりでは、完璧主義が継続を止めることがあります。だからこそ、できなかった点より、できた点を見つける視点が重要です。承認があると、自信が育ちます。自信は行動の燃料になります。
Reflective listening – 反映的傾聴
反映的傾聴は、相手の言葉をただ繰り返すことではありません。相手が言った内容や感情を整理して返し、「自分のことを分かってもらえた」と感じてもらうための聞き方です。
たとえば相手が「仕事から帰ると疲れて、運動する気がなくなるんです」と言ったとします。そのときに「疲れてやる気が出ないんですね」と返すだけでも、十分意味があります。さらに一歩進めて、「運動の必要性は感じているけれど、今の生活リズムだと夜に頑張るのはかなり負担なんですね」と返せると、より深く理解を示せます。
この聞き方の良いところは、アドバイスを急がなくて済む点です。多くの人は、正しい答えをすぐに欲しいようでいて、実は先に理解されたいと思っています。理解された感覚があると、自分から解決策を考えやすくなります。
Summarizing – 要約
要約は、会話を整理し、次の一歩を明確にするために使います。長く話したあとに、「つまりこういうことですね」とまとめるだけで、頭の中がかなり整います。
たとえば「ここまでのお話だと、体重を落としたい気持ちは強い。一方で、平日の夜は疲れやすい。だからまずは、夜に頑張るより、朝に5分だけ体を動かす形から始めるのが合いそうですね」という要約は、状況、感情、現実的な方針をつないでいます。
要約の役割は、話をきれいに締めることだけではありません。相手が自分の考えを確認し、納得して次に進むための橋渡しです。
体づくりの現場での使い方
OARSテクニック コーチング 使い方は、理論だけでは意味がありません。大事なのは、日常の指導でどう使うかです。
たとえば、ダイエット目的の方に「間食を減らしましょう」と伝えても、うまくいかないことがあります。その場合は、「どの時間帯に食べたくなりやすいですか」と開かれた質問をし、「夕方に強い空腹が来る中でも、量を意識しようとしているんですね」と承認し、「昼食から夕方までの間が長くて、我慢しすぎた反動もありそうですね」と反射的傾聴を行い、最後に「では、夕方のドカ食いを防ぐために、午後に小さな補食を入れる形を試してみましょう」と要約して次の行動につなげます。
運動が苦手な方にも有効です。「筋トレは苦手です」で終わらせず、「どんなイメージがあって苦手に感じますか」と尋ねると、過去のつらい経験や、フォームへの不安、痛みへの心配が出てくることがあります。そこが分かれば、強度や種目の選び方も変わります。
一方で、OARSにも注意点はあります。相手の話を聞きすぎて、行動提案が曖昧になると、前進しづらくなります。逆に、質問や傾聴を省いて提案ばかりすると、押しつけになりやすいです。つまり、OARSは優しさだけの技法ではなく、相手理解と行動設計を両立する技法だと考えると使いやすくなります。
うまくいかないときの見直しポイント
OARSを使っても変化が遅いときはあります。それは失敗ではなく、まだタイミングや方法が合っていないだけかもしれません。
よくあるのは、質問が広すぎるケースです。「どうなりたいですか」だけでは、答えにくい方もいます。その場合は、「3カ月後、階段や歩行でどんな変化があるとうれしいですか」のように、少し具体化すると話しやすくなります。
承認についても、表面的だと響きません。「頑張っていますね」より、「今週は完璧でなくても2回歩けた。その現実的な積み重ねが大事ですね」のほうが、信頼感があります。
また、要約したあとに必ず確認することも大切です。「今のまとめで合っていますか」と一言添えるだけで、ずれを防げます。コーチ側が良かれと思って整理した内容でも、本人の実感と違うことはあるからです。
続けられる人ほど、上手に頼っている
健康づくりが続く人は、意志が特別強い人ばかりではありません。自分に合う進め方を見つけ、無理なやり方を修正し、必要なときに伴走者を頼るのが上手です。
ハートコーチングフィットネススタジオ伊丹鴻池でも、体重や筋力だけでなく、気持ちの変化や生活の現実を丁寧に見ながら支援することを大切にしています。運動、整体、生活習慣支援を組み合わせる意味も、まさにそこにあります。体は、気合いだけでは変わりません。けれど、正しい関わり方があれば、年齢や過去の挫折に関係なく、少しずつ良い方向へ進めます。
もし今、「分かっているのにできない」と感じているなら、自分を責める前に、問いかけ方を変えてみてください。良い変化は、強い命令より、納得できる一歩から始まります。



